産業インフラ

薄板鋼板用電磁制振装置

日本初C種対応電磁石採用

薄板鋼板用電磁制振装置が平成21年度特許庁長官奨励賞を受賞

9月25日(金)岐阜市の岐阜グランドで開催された社団法人発明協会主催(後援:文部科学省、特許庁など)の平成21年度中部地方発明表彰で、当社の「薄板鋼板用電磁制振装置」が特許庁長官奨励賞を受賞しました。当社の特許庁長官奨励賞は初受賞となります。
鋼板の振動をセンサーで取り込み、電磁石の発生する吸引力を利用して非接触で振動低減を図る本装置を適用することにより、めっきラインを流れる鋼板の板厚、板幅、鋼種が変わっても、連続的に安定した鋼板の制振制御が可能となり、大幅な省力化、効率化が図られる点が評価され表彰されました。

メッキラインや塗装ラインなどで、鋼板の反りと振動をカット

自動車メーカーや家電メーカーでは、製品のキャビネットとして薄板鋼板をプレス加工して使用しています。電磁制振装置は、熱延、冷延後の薄板鋼板の亜鉛メッキ、塗装あるいは洗浄ラインで、ローラーとローラー間を高速で走る薄板鋼板の反りや振動を抑え、メッキ膜や塗装膜の厚さを均一にするために使われます 。メッキ膜や塗装膜の厚さが均一になることにより、今まで以上に精密で美しく効率的なプレス加工が可能となる他、メッキ材料や塗装材料のロスを防ぎます。「薄板鋼板用電磁制振装置」は、300℃の高温まで耐えられる無機絶縁材料を使い、シンフォニアテクノロジーの絶縁技術を駆使した「C種対応電磁石」を採用。高温下での空冷による作動が可能です。

特長

非接触で鋼板のそり矯正(パスライン矯正)

本装置は、走行している鋼板の表面に電磁石を配置し、センサーで反りや振動量を検出し、磁力で鋼板の平面性を保つとともに振動も抑えるというメカニズムです。機器構成は、電磁石、渦電流式変位センサー、制御ユニット、パワーユニットからなり、メンテナンス性に優れたシンプルな構造を実現しました。

図1 薄板鋼板用電磁制振装置のメカニズム

図2 薄板鋼板用電磁制振装置の構成例

溶融亜鉛メッキ鋼板の製造ラインでは、高温 (420℃以上)で溶解した亜鉛合金の溶液の中を200m/分という高速で薄板鋼板を走らせメッキします。しかし、上下のローラーでテンションをかけられながら走る薄板鋼板は、上から見るとわずかに中央部が外側にふくらんだり(C反り)します。また、ワイピングノズルの風圧による、細かい振動も伴っています。このため、メッキ層の厚さにむらができ、電気メッキに比べメッキ層の厚み制御がむずかしくなります。 対象鋼板、条件により違いますが、C反りの場合、200m/分で走る厚さ0.5mmの鋼板 が非矯正時に±4mm程度の反りが発生するのに対し、本装置による矯正時には±1mm以内の反りに収まります。また、薄板に減衰を負荷して振動を低減します。

連続加振時の周波数特性(T=0.5mm, W=900mm)

図3 薄板鋼板用電磁制振装置の性能例

図4 C反り矯正能力例

高応答回路により制御安定性が高い

本装置では、センサーを電磁石の中央に設置し、鋼板の状態を正確に検出することにより、安定性の高いシステムを実現しました。センサーは、約1/100mmの分解能をもつ渦電流式変位センサーを採用し、高応答性と精度を確保しています。

高温対応電磁石を採用

溶融亜鉛メッキ工程では、420℃近くの高温で亜鉛合金の溶解を行っています。薄板鋼板用電磁制振装置はこのような高温環境下で使用されるため、高温対応電磁石を冷却する必要があります。本装置は、日本ではじめてC種対応電磁石を実用化しました。C種対応電磁石は、これまでのH種対応電磁石に比べ、定格電流の範囲を大きくすることができ、より高い温度で使用できます。また、電磁石の冷却も、空冷というシンプルで安全な構造で対応することが可能です。

C種対応電磁石の特長

省資源、高いメンテナンス性

メッキ層を均一にできれば必要以上にメッキ層を厚くせずに済み、メッキ材料を減らしコストを削減できることになります。さらに、冷却方式として空冷式を採用。水冷式に比べ、安全性が高く、装置がシンプルでコンパクトになり、その結果、メンテナンス性が向上します。

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