電磁攪拌装置
反射炉の欠点を解消する、画期的な攪拌装置。
現在、アルミニウム溶解では、設備費や燃料費の問題から反射炉による溶解が主流となっています。しかし、反射炉では成分の均一化が難しく、燃焼室とオープンウェル部に生じる温度差など様々な問題を抱えていました。その問題に対し、機械式や減圧式の攪拌装置が用いられてきましたが、溶湯との接触や、消耗品にかかる高いコスト、手間のかかる保守等のデメリットが多くありました。
シンフォニアテクノロジーではリニアモータの原理を応用した電磁攪拌装置を開発。
電磁誘導により溶湯自体に推力を発生させ、短時間で均一な攪拌が可能となり、しかも溶湯との接触も無いため、メンテナンスがとても容易で、コストの削減等、理想的な攪拌でより大きな効果をもたらします。
特長
- 成分を均一化、偏析を解消
非常に攪拌作用が大きく炉内全域の溶湯が急速かつ万遍なく攪拌されます。
それにより溶湯成分が均一化され、偏析が生じません。
特にマグネシウム、チタン、シリコンをはじめ合金成分の高いものに効果を発揮します。 - 大幅な省エネルギー化を実現
反射炉では輻射熱を受ける溶湯表面が底部より100~150℃と高温となり熱吸収率が低下します。
電磁攪拌では、溶湯と冷材の接触が強制的に行えるため、数分以内で上下層の温度が均一化し表面温度も低下。
従って熱吸収率が上昇することで熱損失が低減され、大幅な省エネ効果が得られます。(図1) -
溶解時間を短縮
攪拌により溶湯が流動することで冷材に対する熱伝導率が上昇し、冷材の溶解が速まります。
同時に全体の溶湯温度が低下し輻射熱の吸収が高まることで溶解時間が大幅に短縮されます。 -
酸化を防ぎ歩留りを向上
電磁攪拌により表面温度が低下するため酸化が減少され、溶解時間の短縮、
冷材の溶湯への巻込み効果などにより歩留りが著しく向上します。 -
人手がいらず保守が簡単
溶湯に直接接触する部分がないため、ほとんどの部分をメンテナンスフリーで運用が可能。 -
正確な温度管理が可能
溶湯温度が均一化されるため、温度管理をより正確に行うことができます。(図2) -
反射炉の据付面積を縮小
溶湯表面の熱吸収が向上するため、溶湯深さを大きくし、表面積を小さくできます。
それにより据付面積の縮小が可能です。
攪拌の原理
電磁攪拌装置はリニアモータの原理を応用したもので、従来の機械式や減圧式と異なり溶湯と接触する部分のない非接触式の攪拌装置です。
図のように炉底に設置したコイル、すなわち誘導子に三相交流を加えると移動磁界(H)が発生します。この磁界(磁束)の作用により溶湯内には起電力が発生し、誘導電流(I)が流れます(フレミングの右手の法則)。この電流は、また誘導子の磁界と作用し、フレミングの左手の法則に従い推力(F)を溶湯に誘起します。
この推力は移動磁界の方向に働くため、溶湯も移動、つまり攪拌作用を与えます。しかも、この推力は水平方向成分と垂直方向成分を持っているため、溶湯は斜め上方に流れ、溶湯の上下層の温度を均一化する効果をもたらします。
仕様
形式 | EMSA-M2 | EMSA-M1 | EMSA-ML | EMSA-L1 | |
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用途 | 溶解炉、保持炉 | ||||
炉容量(ton) | 10~20 | 10~30 | 20~40 | 30~60 | |
炉底厚さ(mm) | 400 | 500 | 550 | 650 | |
所要電力(kw) | 30 | 40 | 60 | 80 | |
出力周波数(Hz) | 1.5 | 1 | 0.8 | ||
定格電流(A) | 250 | 260 | 280 | 400 | |
攪拌機本体寸法(mm) | 1,220W x 2,430L x 440H | 1,270W x 2,870L x 440H | 1,440W x 3,220L x 470H | 1,717W x 3,720L x 550H | |
攪拌機本体重量(ton) | 4.2 | 5.5 | 7.5 | 12 | |
コイル冷却用ブロア容量(kw) | 7.5 | 11 | 18.5 | ||
ご支給電力量 | 入力(kVA) | 50 | 70 | 100 | 150 |
電圧(V) | 220 / 200 | 220 / 200V, 440 / 400V | 440 / 400 | ||
周波数(Hz) | 50 / 60 | ||||
相(φ) | 3 | ||||
インバータ盤寸法(mm) | W2500 x D600 x H1900 | W3600 x D600 x H1900 | |||
コントロールボックス寸法(mm) | W320 x D200 x H490 |