ニュースリリース

業界初、データによる品質管理を実現した自動細胞培養装置を開発

2021年9月29日(水)

シンフォニアテクノロジー株式会社(代表取締役社長:斉藤文則、本社:東京都港区)は、公益財団法人 神戸医療産業都市推進機構(略称:FBRI、所在地:兵庫県神戸市、理事長:本庶 佑)と共同で自動細胞培養装置の開発を進めてきました。このたび、装置の開発が完了し、iPS 細胞ならびに間葉系幹細胞を用いた実証試験で良好な結果が得られましたので、2021年10月から受注を開始します。

再生医療は次世代の治療として期待され、既に、再生医療等製品として白血病に対する造血幹細胞移植の副作用や脊髄損傷を適用とした商品等が承認され、販売されています。また、肝硬変や心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、腎疾患、最近ではコロナウイルス感染症による肺炎など、従来の医薬品では治療が困難な様々な疾患に対する治験が世界中で行われ、今後、産業としての大きな成長が期待される有望市場です。

再生医療等製品は一般的な工業製品とは異なり、原材料であり有効成分でもある『細胞』が生き物であるため個体差があり、それを増やしたり加工したりする工程である『培養』においては、微妙な条件や手順の違いが品質に大きく影響します。そのため、現在は高度な熟練者による手作業での製造が主体で、生産効率を高めるための自動化が課題になっています。

製品となる細胞は生きたまま品質を確認することができず、常に高品質な製品を製造するためには、『培養の工程全体を品質管理の対象として常に監視しながら製造し、製品の品質は工程の質で担保する』というQuality by Design (QbD)の考え方を取り入れることが非常に重要です。そのため、当社は細胞製造の品質管理についての国際的なリーダーであるFBRI細胞療法研究開発センター センター長 川真田伸先生のご指導のもと、細胞の製造工程の監視に必要な機能を装備した装置の開発と評価を進めてきました。

新たに開発した装置CellQualia Intelligent Cell Processing (ICP) Systemは、複雑な培養工程もタブレットPCから簡単に設定でき、培養液中の細胞の生育の様子も化学センサーの測定値や画像によってリアルタイムに確認することができます。また、任意のタイミングで培養液の一部を抜き取って質量分析や免疫化学的測定といった高次の解析を行うこともでき、取得したそれらのデータは品質の管理だけでなく、製造工程のさらなる改善にも活用することが可能です。

また、再生医療等製品の要件である無菌性を担保するため、培養液や細胞が接する全てのパーツをチューブで無菌的に連結し、全ての工程を外気に触れさせない完全閉鎖系となっています。さらに、細胞が生育するための栄養素を含む『培地』の自動交換機能に加え、細胞を段階的に増やすために大きさの異なる培養容器に移し替える『継代』も自動で行う機能も装備しています。全体としては、原料となる細胞の播き込みから収穫までの全ての工程が自動化され、全てのデータも集約されるので、製造ならびに品質管理部門の省人化に非常に有効です。

当社では、本装置の有用性を体験して頂くために、FBRIが新たに神⼾医療イノベーションセンター5階に整備する細胞受託製造設備(竣工予定:2022年2月)の一角に当社の「ソリューション・ラボ」を2022年3月に開設する予定です。この施設では、お客様の見学や希望する細胞の培養評価を実施するだけでなく、さらに一歩踏み込んで試験製造の受託なども可能にする予定です。お客様にはぜひ、当施設で実際に装置を使用して頂くことで、質の高い再生医療等製品の製造には必須であるQbDを体感していただき、当社はその導入を積極的にサポートしたいと考えています。そのほか、2019年から準備を進めている英国機関との上記コンセプトの実証実験は、新型コロナの影響で遅れていますがようやく準備が整い、今年度中には開始できる状況です。

本装置の発売を皮切りに、当社は再生医療事業のブランド名をCellQualia(Cell=細胞とQualia=質感からの造語)として事業を展開し、2025年までに50億円の売り上げを目指してまいります。また、新たな装置の上市によって、質の良い再生医療が安価に患者様に提供できるようになることを期待しています。

CellQualia Intelligent Cell Processing System(自動細胞培養装置)

ソリューション・ラボ開設予定の神戸医療イノベーションセンター

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