輝いてこそ技術 SINFONIA シンフォニアのあゆみ(創業1917年)

巨大電磁石「リフマグ(R)」を開発リフマグ編

高温多湿に耐える製品を独自開発

「リフマグ」は鉄やニッケルなどを吊り上げ搬送するための巨大な電磁石だ。

昭和25(1950)年当時、わが国の製鉄各社は海外製のリフマグを使用していたが故障が多く、そのたびに当社に修理の依頼が舞い込んでいた。海外製とはいえ出来が悪いのだろうか。担当者が修理品を分解して調べ、一つの結論に達した。欧米に比べて高温多湿というわが国特有の事情により絶縁が破れ、故障しやすかったのである。

当社で、日本の気候に適応した独自のリフマグを作ろう。こう決意した技術者たちは資料集めから始めたが、まだ占領中のことゆえ、海外からの資料の輸入もままならず、修理品のスケッチやわずかな資料を手掛かりに設計を始めた。

接着用のシリコンワニスが日本にないため海外から取り寄せ、それを国内メーカーに見せて、ガラス布をシリコンワニス処理したテープを作ってもらった。また、層間絶縁も日本の高温多湿に適応できるように工夫を重ね、昭和26(1951)年に、当社第一号機のリフマグが完成した。

当時、20トンのストリップコイルを吊るという当時としては類を見ない大型のリフマグを開発したときには、20トンコイルなどどこにもないため、ぶっつけ本番で納品するしかなかった。

客先に「20トンコイルをおしゃかにしたら100万円です」とクギを刺され、担当者は内心「100万円は貯金と毎月の給料返上で何とかなるかならないか」などと思い悩みながら、「当社のリフマグは日本一。自信があります」と答えたという。そしてリフマグは20トンのストリップコイルを吊り上げ、無事納品された。

スクラップ分野に進出

1960年代に入るとわが国は製鉄業界は急発展し、製鉄所内に厚板工場が次々に増設され、リフマグの需要は急増した。リフマグの大型化が進み、昭和39(1964)年には32トン吊り、昭和40(1965)年には40トン吊りと世界的記録品を次々に開発・納入していった。

ところで、製鉄所は西日本にあっても契約は本社のある東京で行われる。このままでは、リフマグの大阪営業部隊に仕事がない。そこで、大阪の営業部隊は鉄鋼以外の新規顧客開発に努めた。その結果、昭和38(1963)年、スクラップの屑鉄吊り上げ、搬送用のリフマグ第一号機が納品された。その後、スクラップ分野のリフマグは拡大し、リフマグを支える柱の一つとなっている。

リフマグを設計するときに問題になるのは、リフマグ自体の重量である。重量物を吊り上げ運ぶときにリフマグの重量自体がネックになる。リフマグの自重のうち25~30%が電磁石のコイルの重さである。そこで、コイルを銅線ではなくアルミにできないかという発想が出てきた。

表面をアルマイト処理した長いアルミ線を作ってくれるメーカーはないか、国内各社を当たったが色よい返事はもらえない。結局、電線メーカーの研究所に直接交渉し、現状では要求の長さのものはできないが、一定量以上の発注を確実にもらえるなら開発してみましょうという答えがもらえた。

電線メーカーは陽極酸化被膜処理により10ミクロンの厚さの絶縁層をもつアルマイト化に成功、アルミ線を当社に納入してくれた。当社の方でも銅とアルミの接合など技術的困難を克服し、昭和40(1965)年、世界でも類をみないアルミ線を使ったリフマグを開発、重量は15%軽くなった。発売と同時に「軽くてよく吊れる」と評判になり、スクラップ向けを中心に大ヒットとなった。

究極のリフマグを開発せよ

こうして業界を席巻した当社のリフマグだが、マンネリとなりシェアを落としてじり貧となっていた。2002年、当社の社長が「究極のリフマグを作れ」と発破をかけた。コモディティー商品として甘んじることなく、リフマグを画期的商品にしてシェア奪還を目指せというのである。

担当者は会議を開くが、そのアイデアは過去に出たがダメだった、コストがかかりすぎるなど歴史がある製品だけに画期的なアイデアはなかなか出ない。新しいアイデアを出すために、当時始まったばかりの磁場解析を行うことにした。その結果をみて会議の参加者は驚いた。当社のリフマグは最強の磁力を発揮するパターンとは異なる磁場分布となっていた。

これには理由があった。リフマグは使い始めは冷えているが、使用するにつれて温度が上ってくる。設計者はリフマグの温度によらず一定した吊り上げ力が得られる安定した性能が発揮できるように設計していた。

温度によって性能に変化が出ても吊り上げ力が強い方をとるべきか、それとも性能の安定を優先すべきか。営業部隊の話をよくきいた結果、顧客は強さをとると判明。一気に吊り上げ力1.4倍のリフマグが誕生したのである。

ちなみに、リフマグはいまでは業界で一般用語のように使われ親しまれているが、当社の登録商標である。